2023/04/25 13:44

開店準備を終えたくまさん店長は早速電話をかけました。

pululu.... pululu....

『はい!こちら水鳥配達店です』

「クマ花店ですが夜森に咲くお花をこちらまで配達お願いします。

『かしこまりました。涙の湖を渡って明日の夜明け朝一番でお届けします。』

「よろしくお願いします!」

“月と星の夜森”の周りには沢山の悲しい涙が集まった湖が広がっています。この湖、以前はくまさん店長もお手製の小舟ですいすいと渡りそこに咲くなんとも美しい花々の仕入れを行っていたのですが、今はこうして水鳥配達店にお願いをしています。

あの日、どこからか紛れ込んでしまった不機嫌な涙は悲しみが詰まった涙の湖に一雫、たった一雫だけ落ちてしまいました。みるみるうつに湖は荒れ丁度配達をしていた水鳥配達店の“黄色い水鳥”はそれっきり戻って来なかったそうです。その噂は彼方此方に広がりそれ以来この湖を渡る子は水鳥配達店の水鳥以外いなくなりました。

「君は怖く無いの?」

電話を切った“空色の水鳥”に“桃色の水鳥”は聞きました。

『んー。僕はあの白昼森の泡沫のシャボン玉乗る方がよっぽど怖いかな。なんだか暖かすぎてこちらには戻ってこれない気がして。僕はこの湖で仕事をする方がよっぽど安心だよ。』

「時間を忘れる程あんなに幸せなのに?相変わらず君は変わっているね。じゃぁ今夜の配達は君に任せたよ。」

『了解。紫の水鳥兄弟はもう仕事へ行ったの?』

「夜森のお花を白昼森まで配達に行ったよ。あっ、そういえばその兄弟から聞いたんだけど最近、その白昼森で黄色い水鳥を見かけたって噂を聞いたんだ。本当かな?」

『あー、僕は苺畑のウサギさんの所で見かけたって噂を聞いたけれど、、、まぁ噂だからね。自分の目で見たり感じた事を信じるのが1番だと僕は思うよ。』

「そうだよね。黄色い水鳥と約束をしててね。あの子の羽根ってキラキラしていて凄く綺麗でしょ。羨ましくって綺麗な秘訣を聞いたの。そしたら蜜蜂に蜂蜜を分けて貰ったって言ってて。一緒に蜜蜂の所へ行く約束をしていたんだけど。。。」

『そのままでも君の羽根は充分綺麗だと思うけど。桃の花みたいに優しい香りもするし。それに、、、あっ!時間だ!それじゃぁ仕事へ行ってきます!』

「いってらっしゃい!気をつけて!」

空色の水鳥さん、なにか言いかけてた気もしますが、、、気のせいでしょう。

今日も水鳥配達店は大忙し。夜明けまでに無事にくまさん店長のお花屋さんにお花は届くでしょうか?

その頃“月と星の夜森”ではネコさんたちがお花の秘密を話していました。